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人力検索における回答拒否機能その後

人力検索サイトはてな」の最大の特徴は、はてなポイントという換金可能なポイントを介して質問・回答のやりとりが行われる事である。
 今回導入された「回答拒否機能」に関して論ずる場合には、改めて「有料である」という事が持つ意味意味について考えてみる必要があると考える。
仮に「人力検索サイトはてな」が無料のサービスであったならば、誹謗中傷等の悪意に満ちた行為を除き、拒否機能を持たせる必要も無いかと思うが、有料であるが故に質問者側から「特定回答者の回答を拒否したいという要望(権利の主張)」が根強く出し続けられる事となり、今回の機能実装に至ったと考えるからだ。


 一般に、インターネット上の他のユーザーに対し検索の代行や知識の提供を求める手段には様々な方法がある。通常有料である場合には専門家等による比較的高額な営利目的のサービスを利用する事を意味する。「依頼者」はほぼ確実に”回答”を得る事が出来、その回答の質に対しても厳しく評価する事が当たり前に許される。
逆に無料の質問・回答サイトや掲示板等を利用する場合には、(インターネットを介しているという特性によるコンピュータ関連の質問等を除き)回答の質への期待値は有料サービスに比べ低くなり、質問の内容によっては回答が得られない事も充分に考えられる。


 では、「ごく少額の換金可能なポイント」を介して質問・回答が行われる「人力検索サイトはてな」というサイトの場合はどのような特性を持つのだろうか?
以下のようなメリット・デメリットが考えられる。


【有料:少額のポイントのやり取りがもたらすメリット○・デメリット×】

  • メリット○:

換金可能なポイントを獲得出来る可能性がある事で、無料のQ&Aサイトと比較して常時回答者が集まりやすくなり、質問者は「より早くより多くの回答」を得る事ができる・・・数的・量的な優位性。

  • デメリット×:

現状、特に「人力検索サービスの回答者として”はてな”の利用を開始する新規ユーザー」にはお小遣い稼ぎサイトとして認識される可能性が高く、「ポイント獲得の為とりあえず答える」といった安易な姿勢に陥り易く、また「検索の代行」というサイト主旨による検索スピード重視のポイント配分性向(デフォルトにて)が、そういった回答姿勢をより助長する場合がある・・・質の低下を助長(本来は有料である事によって”質を求められている”為デメリットでは無い筈なのだが、個々のユーザーの意識に頼る部分が大きい為に短所として作用する事がある)


従来、(私、元id:saiz自身は”古き良き時代”と言っている)一年程前までも上記のようなメリット・デメリットは勿論存在したのだけれども、多くはメリットとなる部分が強く働き、デメリットとなる部分も自浄作用の中で解決されていた気がする。かくいう私自身は、この「デメリットに飲み込まれた低レベルな回答者」であったと自認しているのだが、良ユーザーの方々の回答姿勢などを見ている内に、それまで質問者の心情を然程考えず安易な回答を行っていた自分が嫌で仕方なくなっていった。*1


では、何故「回答拒否機能」が必要になったのか?最大の理由はユーザー数の増加により「メリットとデメリットのバランスが崩れてしまった」事にあると思う。
本来、もともと不特定多数の人が集まるのだから、いくら人が増えようと「良回答と糞回答の寄せられる割合・確率」というのはそれ程変わらないようにも思える。しかし「人力検索サイトはてな」の場合、以下のような理由で、そのバランスが崩れていった。


【雰囲気が悪くなったり、糞回答と呼ばれるものが増えた理由】

  1. 人力検索サイトはてな」は元々スピード重視のポイント配分性向を持っている(均等配分を行った場合、最初の2〜3回答で締め切られる方が、より多数の回答が開けられた場合よりも高ポイントを得られる可能性が高くなる)。故にポイント獲得を目的とした場合スピードを重視するあまり安易な回答に陥り易い。人が増えればそれだけ安易な回答が先に登録され易くなる。
  2. 基本的には「参考となるであろうURL」を提示した上で質問に対する回答を寄せなければならない為に、スピード重視の回答が多くなる程有効なURLが見つけにくくなる。(良回答者の方がダミーURLを避けようとする傾向が強い。また類似URLでの回答も控える)・・・故に良回答者は回答の機会が減ってくる⇒回答に対するモチベーション低下の悪循環
  3. <オマケ>:良回答者は、そこまでしてポイントが欲しいとは言わないだろうが、やはりポイントがあると無いとでは「回答に対するモチベーション」ってのは違ってくるだろう。実は「平均受取ポイント」ってのが気になっている場合も結構あったりする筈である。「平均受取ポイントが高い」ってのは実は一種の名誉欲を満たすものであるから、「いわし」でフォローして投げ銭して貰うのとも少し違ってきたりする筈だ。だから回答を開けて貰えない可能性が高い場合には、良回答者もワザワザ丁寧な回答を書いたりはしない筈。


こうして「有料の人力検索サイトが持つ”負の要素”」が強まる事により、それまで保たれていたバランスが崩れ、「回答拒否機能」がより強く求められていったのだと考えるのだ。


さて、ここでやっと本題の「人力検索における回答拒否機能その後」だが、・・・これは論ずるまでも無く、「いぜんよりは良くなった」で良いのではなかろうか?あまり薦められたものでは無いが、某巨大掲示板を見ていれば良く判る。以前より安易な回答は少なくなったのであろう。偏った者による粘着・私怨のようなものは相変わらずあるが、回答姿勢への単純批難は減っている。外部での他者批判は褒められた行為では無いが「火の無い所に煙はたたない」と言うのも事実である。(・・・と、元id:saiz(黒)は申しております^^;)
回答拒否の公表・公言による個人間対立発生の可能性」などの懸念要素は残っていると考えるものの、その辺りは元々この「人力検索サイトはてな」が持つ自治意識・自浄作用に期待するべきであると考える。
・・・何だか解説ばかりを頑張ってしまい、元々の議題に対する答えを流してしまったのだが(苦笑)、プロセスの分析を行ってこそ対策とその効果を語る事が出来ると思っている。


さて、この件に絡めて「人力検索サイトはてな」に対し要望を一つ出したい。
★要望:『平均受取ポイント計算時の「未開封回答数」の計算からの除外』
 上で<オマケ>として書いた理由から、これが実現すれば回答の順番が遅くなっても良回答者の方が諦めずに回答をしてくれる可能性が高まると考えます。是非検討頂きたいと思います。
・・・先ずはここまで

*1:ちなみに私自身(元id:saiz)は、そういった”業”を背負っていたが為に、徐々に「回答をする」という事が難しくなっていった訳だが、本音を言うと「よくぞ他の皆さんは私を然程批難しないで居てくれたものだ」と思っている。・・・これは、「場の雰囲気」を理解するまで気長に待って頂けていたのだと思っている。そういう意味でも”古き良き時代”であった。