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はてなが大地震におそわれる日

東京直下の大地震もいつか起こるかもしれない。それは近々かもしれない(参考 http://www.soumu.metro.tokyo.jp/04saigaitaisaku/11chokkajisin/11frame.htm)。

中沢新一『アースダイバー』(ISBN:4062128519講談社、2005年5月。関連 http://www.1101.com/nakazawa/)によれば、はてな社がある東京都渋谷区鉢山町は洪積層の台地にあたる(第1章、p.17)。近くの同じく洪積層の台地にある猿楽町には古代遺跡も存在している(参考 http://www.city.shibuya.tokyo.jp/shibuya/town/kubunka.html)。

はてなが大地震に襲われたら、社屋は固い地層に建っている背の低い建物で、倒壊することはおそらく無いだろう。地が割けるようなゆれも免れる可能性が高い。はてなのサーバもまた鉢山町にあるのかは分からないが、もしそこにあるとすれば、サーバラックが倒れる、サーバが飛び出すまたは動いて壊れてしまう、配線がちぎれる、などが起こらなければ、壊滅的被害にはならないのではないだろうか。逆に言えばそれらが起これば壊滅的被害になる。

もちろん、脅威はまず電源の確保だ。停電しても持ちこたえられる?

データはコピーしてどこかに避難させてあるのだろうか?

地震が起こる。id:jkondoさんはじめ社員の方が無事で居ることを祈る。休日のある日、東京は大地震に遭う。とりあえず、id:jkondoさんとreikonさんと、しなもんさんは怪我も無く無事だったとする。しなもんさんは怯えて震えているかもしれない。reikonさんは家も心配だ。停電してしまった。冷蔵庫は壁に食い込んでしまった。でも、ふたりは身支度をする。自転車の前かごにしなもんさんに乗ってもらい、ありったけの水や毛布、食べ物を携え、ローラースケートの時に付ける防具を身につけて、三人は街に飛びだしていく。はてなの社屋に駆けつける。


既に社員も集まってきている。室内はものが飛び散って足の踏み場も無い。でも何よりもまずサーバルームに走り、手早くサーバを点検する。ネットワークを点検する。

電気は確保できた。通信も大丈夫だ。
止まっていたサービスをすかさず復旧させる。

アンテナには次々、地震のニュースを聞いたダイアラーの書きこみがあがっていく。「大変だ」「id:○○さん、無事ですか。生きていたらコメント下さい」「大丈夫ですか」「はてなは終わった」「はてながんばれ」「キタコレ」

東京近辺のユーザからの書きこみはまだ無い。

「無事ですか」「死なないで」「まさか」「ポイント送ります」「ひとことでいいから」

やがて携帯メールでの投稿が入ってくる。「無事です」

スタッフは、はてな義援金窓口http://d.hatena.ne.jp/./hatenacontrib/)をなんとか開始する。うなりをあげてポイントが送られてくる。注目のキーワードの一位に「地震」が跳ね上がる。

「無事です」「避難しました」「実家に帰ります」「東京を離れます」「全然大丈夫だった。これまで停電していて書きこめなかった」「パソコンが壊れてしまった」「家族が怪我で」「怪我してしまった」「火事!」「水が無い」「家が壊れた」「友達が……」「家族が……」

しかし書きこみの無い日記もいくつかある。呼びかけに答えの無い、いつまでも答えの無い日記。
コメント欄には呼びかけのコメントが降り積もる。


やがて誰かが知らせを書きこむかもしれない。

やがて誰もが忘れるかもしれない。
でもあなたの生きていたあかしは、消されない限り、はてなダイアリーには残っている。

桜はまた満開になった。人間はいつまでもこの桜を見られるわけではない。だが、せめて来年のこの満開の桜を、あなたやわたしが無事で見られることを切なく願う。

はてなでかわされるメッセージ。はてなはもはや生と死に関わるときにも使いたくなるインフラである。地震にも災害にもめげず、無事、動いてくれるシステムであるように。近藤さん、社員のみなさん、がんばってください。